■事例集の概要

　事例集は第一章「総括編」、第二章「事例編」、節三章「資料編」の三部で構成され、「総括編」では事例調査の目的・調査方法、二四現地調査事例の総括など、「事例編」では五つのカテゴリーに分類された現地調査企業を立地概況、先進性・独創性の特徴、先進性・独創性を有することとなった経緯等、現状の問題点等について紹介、「資料編」では、中小製造業に対する文援策等、施策等の問合せ先一覧を掲載している。

1. 総括編
   先にもふれたが、小規模事業者の経営環境が近年、非常に厳しい状況になっていることから小規模事業者は、より一層の独自性・効率性が求められてきている。
   同会ではこのような状況を鑑み、全国の商工会地域の中で先進性・独創性に富んだ事業活動を展開している企業の事業概要、今後の課題等を調査、研究することにより、小規模事業者等の企業活動、商工会の事業等を展開していくうえでの参考となる事例の提供を目的として、本事例集を取りまとめた。
   調査方法は、同会に学識経験者、関係機関等からなる先進事例集作成委員会を設置、紹介事例の選定、現地調査、事例集作成等を実施した。
   同委員会では、事例集の企画内容の検討を始め、同会が事前に行った調査に基づいて全国一一五企業の中から掲載事例二四企業を絞り込み現地調査を踏まえて事例内容の研究、事例集の取りまとめを行った。
   現地調査は、同委員会メンバー等が調査先を訪れ、経営者などから直接ヒアリングを行った。
   ヒアリング項目は主に、�@現地調査先企業の概要、�A当該企業の立地概況、�B先進性・独創性の特徴、�C先進性・独創性を有することとなった経緯等、�D現状の問題点（経営、技術面等）、�E商工会と関わり、�F今後の展望、�G先進性・独創性を実現するための留意点・まとめ（経営者からみた成功要因等）である。

• 現地調査事例の総括
  今回現地調査した二四企業を「独自の製品を開発している企業」、（製品開発企業）、「独自の加工技術を開発している企業」（加工技術開発企業）「知的所有権を積極的に取得している企業」（特許戦略企業）、「積極的に海外展開している企業」（海外展開企業）、「ＩＳＯ９０００シリーズを取得するなど先進的な答理システムをとっている企業」（先進管理企業）の五つのカテゴリーに分類した。

電気めっき加工業として、各種部品の防錆めっきと半導体、原子力関連機器の特殊機能めっきを手がけ、特に特殊機能めっきで製法特許を取得している「ステンレスの内面銀めっき」及び「ダイヤモンド等の複合共析めっき技術」など先端的めっき処理技術の開発に成功しているジャスト�Xは「加工技術開発企業」例として、また、精密板金業界では国内初のＩＳＯ９００１の認証を取得し、この際の取得維験を生かし、中小企業の体質に介ったＩＳＯ取得のための支援を、ビジネスとして展開しているアークテック�Xは「先進管理企業」の例として、それぞれ紹介されている。