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プレス技術連載第17回
Q. 外注の品質
ISOを始めて一年半、社内の不良は確実に減少してきました。品質担当者として、長年顧客からの不良クレームに頭を悩ましてきましたが、ようやく品質状況が安定してきたところです。ところが、外注業者の不良は、相変わらず減らないのです。現在顧客クレームのほとんどは、社内の工程ではなく、外注が製作したモノです。検査の強化や外注指導も行ってきましたが、効果が上がらずに悩んでいます。
下請け業者の品質を、改善するためにはどうしたらいいのでしょうか。


藍田良雄: 
ある会社の定期審査で、不適合品の発生があり、不良原因と是正対策が不十分ではないかと指摘されました。審査員の強硬な質問に対し、管理責任者は「この製品は外注が作った不良だから…」と平然として答えたといいます。しかし、それでは下請け業者を管理していないことを、自ら告白したことになってしまいます。実は、このような考えをもっている企業や品質担当者は多いのです。
「外注・下請け管理の放棄」
 外注・下請けに業務を依頼してしまうと、自社の管理から離脱して、業務そのものをブラックボックス化して管理の必要性を放棄しているのです。そうした方が、手間がかからず楽ですからね。でも、ISOの「アウトソース」の意味を理解していますか。購買・下請け・外注・アウトソースをきちんと理解して管理する必要があります。
 どんな小さな企業でも、業務のプロセスは存在し、品質マネジメントシステムを取得している組織では、各々のプロセスを適切に運営・管理しなければなりません。一部のプロセスを外注や下請けに外部調達や外部委託「アウトソース」した場合でも、そのプロセスが製品の適合性に影響を与えるような重要なプロセスである場合には、そのプロセスは自社と同様の管理をしなければならないというのがISOでの考えです。
 プロセスの外部委託が「アウトソーシング」であり、製品を購入する「購買」とは異なるという解説もあります。要約すると、委託先のプロセスを管理できるのが「アウトソース」であり、管理できないのが「製品の購買」であるとの見解もあり、「外注」「下請け」と「外部委託」との違いを強調する考え方もあります。
ISO/TC176/SC2/N526R用語に関する指針には、こう明記されている。
「ISO 9000:2000 シリーズ規格の目的と精神からは、"subcontract(下請負契約)"と                               "outsource(アウトソース)"とは、相互に置き換えて用いる事が出来るし、同じ意味である」
 アウトソース(Outsourcing)は、従来型の外注(subcontract)とは異なる新しい業務外部委託の形式であることを強調する、格好良さを狙った用語でしょう。アウトソーシングは購買の別名に過ぎません。これ以上アウトソースと購買の違いについて深くは述べませんが、購買を広い意味で解釈すると、アウトソースも製品購入も、共に購買で包括され、作られた製品だけではなく製品を製造するプロセスまで含めて購買することが「アウトソース」だということで話を進めます。
 9001:2000 4.1項の意図は、組織が適合製品を提供する能力に影響を及ぼすプロセスをアウトソースする場合に、それを理由にこのプロセスを無視してしまったり、組織の品質マネジメントシステムからこのプロセスを除外してしまってはならないということを強調しています。換言すれば、プロセスを外注したり下請けに出している場合でも、外注した発注元に管理責任があるということです。
 管理方法や管理のやりかたは、アウトソースする製品のプロセスや要求精度・難度などによって相違しますが、プロセスに対する何らかの管理は必要であり、考え方としては、アウトソースしたプロセスのインプットとアウトプットを明確にし、プロセス活動に必要な手順などをアウトソース先に明示し、アウトプット(製品)の受入方法について定めることになります。
 実際には、外注の品質管理組織や管理手順、設備や技術などプロセスの評価認定と定期監査の実施、要求仕様や技術標準、検査方法の打合せ、立会いや受入検査などが考えられます。
 結論的に言えば、下請けの不良を見抜き、減少させることも、その企業の管理技術力です。 

柄守川我留男: 外注から重大な不良が発生したり、信じられないようなポカミスが続いたりすると、発注元は大きい影響に見舞われる。
実にバカらしい原因の不良や、ポカミス、納期遅れが続けば、「今度こんな不良出したら、もうお宅への仕事は止めるよ」、「ペナルティも当然、覚悟してくれよ」と言い渡すだろう。
 しかし、外注品の品質不良の50%は発注者側の責任である。
【発注者の問題点】
 発注者側が考えなければならない、外注品の品質安定のための対策と問題点をあげてみる。
・業務を委託できる適正な外注工場の選定
 業務実績、生産能力、設備機械、技能者、品質能力、管理組織などを評価する。
通常外注は、取引先からやれといわれれば、殆どの仕事は断ることをしない(辞退できない)し、また面目にかけても「この仕事は難しくて出来ない」とは言わない。外注企業は、金魚と同じで、投げ込まれた餌は全て飲み込もうとする。飢餓を恐れる本能のまま、消化不良を考えずにパクパクと餌を食べ続ける。満腹になり、それでも食べ続けてやがて、ボールの様にぱんぱんになった腹を上にして水面に浮き上がってしまう。だから・・・・・・仕事を出すほうが悪いのである。
・仕様や指示は明確に
 口頭で指示した結果の不良は、当然発注者側の責任である。仕様は書いたもので示すのは常識であるが、緊急品や多品種少量生産の場合は守られていない。稚拙な図面や不明瞭なFAX手配がミスを呼ぶ。一流企業から出されるCADデータの出鱈目さに、頭を抱えたり目を覆う経験を持つ外注は多いのである。そして、往々にして本音と建前の発注がされている。仕様や図面はこうなっているが、マア適当で・・・というような塩梅で仕事を依頼し、納品されると仕様や図面をたてに言い掛かりつけ、クレームにする。あるいは、発注の際に厳しいことをいっておきながら、無検査受入をする。外注企業にとっては、一杯くったような気になる。ともかく発注企業に対する疑心暗鬼は払拭されない。
・管理項目の明確化
 はっきりいって外注の管理レベルは、親企業に比べて桁違いに低い。重点項目は何かをはっきりと示さず、要求項目があれこれ多すぎないのか。無意味なほど細かい検査表を毎回要求し、どうでも良いようなキズや仕上げの漏れを、まるで鬼の首を取ったような勢いで責め立ててはいないか。
外注に、製品がどういう性能(機能)を要求されるものかを知らせることが重要だ。例えば、何のためにこれが付いているのか、要求公差がなぜこれ程厳しいのはこんな理由等と、十分に説明するのだ。
【外注業者の問題点】
・希薄な品質意識
 「単価」−外注業者最大のアテンションポイントである。次に納期、仕事のやりにくさであり、品質に対する配慮は微かに頭を過ぎる程度である。品質観念は、発注者側が希望し推測するよりも遙かに低次元である。外注業者全てではないだろうが、特に零細外注や多品種少量生産する外注にあってはこの風潮が強い。
・能力無視受注
前にも述べたが、仕事の量的欲求が強いのが外注であり、自社の加工・技術能力、管理能力を眼中に置かないで仕事を口に入れようとする。小規模の外注で、社長自ら現場に入るところは、自分自身が苦労するからこんなことは少ないが、現場を知らない営業マンが受注活動している外注の場合はこのケースが多い。
・仕事意識の欠如
 近年、職人気質の作業者が見受けられない。以前は、中小零細企業には町工場特有の、高い技能と志を持った熟練技能者が数多くいたものである。現在では、熟練には程遠い素人集団を寄せ集めた程度である。仕事のノウハウや技能の神髄を理解せず、したがって後輩に仕事を教えられない結果、仕事そのものの基本を知らない作業者ばかりだ。
・ 設備や測定具の管理不足
 設備の定期点検や、始業点検をきっちりやっている外注企業の不良は多くないはずである。やるべきことが出来ていない外注が問題だ。そんな外注には、作業者が図面を読めなかったり、納入後の検査や工程内検査は、無償のサービスを親企業が強制して押しつけられていると考える者もいる。
製品の出来具合を確認するのは、親企業だと錯覚している有様である。
【不良ゼロの重さ】
 「不良ゼロ」は、よく見かける格好良い目標だ。あるレベルまでの不良低減は、確かにコスト削減に貢献する。しかし、完全にゼロに持っていこうとすると、コストは跳ね上がる。不良ゼロ達成のコストを、協力工場の外注そのまた下請けの企業へとしわ寄せを押しつけ、泣かせていていることはないだろうか。マネジメントの原則に「供給者との互恵関係」がある。不良ゼロは永遠の課題であるが、モノ作り側の論理で結局お客様にコストを負担させ、外注を泣かせている事実になっていないのか。重要なクレームは、ゼロでなければ企業の存在価値が問われるのは、三菱自動車を見れば明白だし、不良ゼロの戦いに勝つことが生きる道だというのも十分に理解出るが、やはりクレームもいろんな意味での軽重があるのではないか。

欧木普都生: 普通製造業では、生産の全工程を自社内で行っている例は多くありません。程度の差はあるものの、殆どの企業の多くは、下請けに業務を依頼しています。いわば下請けは社外の製造部ともいえるもので、その活用次第で、企業の生産能力や収益性を増大させることが可能です。しかし、自社できちんとした下請け管理をしていないと、外注単価割れや納期遅れ、品質トラブルが発生します。
【外注業者への指導】
 下請けに対する品質指導は、相手の理解度を考えて、指導内容を組んでいきます。発注側の論理や利益ばかりを強調せず、結局は自分のためだということを相手に理解させます。
・自主的に勉強させるよう、協力会などを利用
・品質発表等に招待し、外注にもQCを薦める
・品質管理は継続的に、手抜きをしない
・下請けの手本となる品質活動を見せ続ける

 下請けの姿を見れば、親企業の程度が知れます。親企業側の指導もさることながら、要はやる気の問題です。自ら向上成長しようという意欲がなかったら、淘汰されることになるということを認識させなければなりません。
「下請けとの付き合い
 製造業の品質管理者の職業病ともいえるイライラやストレスの最大原因は、「得意先からのクレーム」でしょう。「工程内の不良」ならいざ知らず、「下請けの不良」が因果関係の根本にある場合には、悩みは一層深いものになります。 たとえ下請けの不良だとしても、取引先では、その会社が出したミスという事で、厳しいお叱りが来ます。
外注のミスなんだけど、責任はその企業にある、当たり前の話なんだけど……。下請けへの発注担当者だけの問題ではないので、営業・品質会議など開いて、どうしたものかとみんなで頭を抱えるわけです。
 厳しい経済下において、自社を発展させるためには、取引先・協力工場を含めた企業ファミリーの総合力を強化する事が重要です。自社に優良取引先・協力工場が付いているか否かで、企業業績に重大な影響を与え、自社の浮沈が決定されます。
下請け管理を総合的に見直し、取引先・協力工場に対する方針を原点に立ち帰って考えましょう。以前からの付き合いの下請けだからといって、高度成長時代の取引先・協力工場に対し、無方針、無施策では後々問題対応に追われます。
【ISOを口実に外注業者に注文】
 下請け企業も、厳しい品質管理、コスト削減など必然的に何らかのマネジメントシステムを運用しなければ生き残れない状況です。「やってもらわないとISOの審査に通らない」との口実で、この機会に下請けさんにも問題を解決してもらいましょう。ISO取得は、まさにグッドタイミングです。ただし、意味のない管理をやらせたのでは、下請けいじめになってしまいますから、注意が必要です。下請けの不良率を下げ、同時に品質を向上させたいわけですが、それには工程管理を徹底して行える力をつけさせなければなりません。
資本主義社会は、企業の競争の上に成り立っています。品質を良くし、コストダウンに対応できない企業は、淘汰されていくのです。この"生き残り"のための経営手法として、ISOが導入されているのです。下請けにもISOを取らせる?
【不良状況の周知】
 外注に不良状況を提示し、品質集計グラフを定期的に周知するだけで、慢性不良が減少することがあります。外注の朝礼で話し合ってもらうだけで不良は減るものです。
ISO川柳
不良出た!?  直角のお辞儀で すぐ分る
(まいど営業マン)
やれ打つな 不良は出るもの 探すもの
(外注社長)
下請けに 不良出されて もらい泣き
(彼我 恥与


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