藍田良雄:極めて厳しい時代です。仕事が減り、受注単価は海外価格が当たり前の状況です。以前は、景気が低迷しても多少辛抱していれば、なんとか受注は回復しました。しかし、このところ発注先の海外移転やリストラが急激に進み、経済の構造や秩序も激変しています。淘汰されるモノ、生き残るモノとに区分され、新しい環境や時世に順応した斬新な企業が輩出してきます。時流を見る目と、乗り遅れない努力が必要です。ところで、この国際規格は、何のためにどこまでやるか≠ヘ企業の自由です。取る、とらないも自由ですが、取得した者だけに与えられる資格の評価は低くありません。前向きに取り組む事をお勧めします。
柄守川我留也:はっきり言って、取引先から取得を打診されているならば、見送る事は企業の存続を危うくすると覚悟した方が良い。出来るだけ早く、ISOなど要求しない取引先を探す事を奨める。或いは、自社の管理システムがISOと同等である事を強くアピールすべきであろう。何もやらず静観する事は、決して良い結果にならないと断言する。では、取得したら仕事は来るのか?そんな事は分からない。5年前とは違い、取得が珍しい時代ではない。仕事を出す側も、リストラを行っているのだ。下請けの品質管理指導や、面倒を何時までも見てくれるハズが無いではないか。今残っている仕事は、間違いなく取得した企業に流れて行くだろう。
品質マネジメントシステム(QMS)の取得企業にとっても、楽観は許されない。次は、環境マネジメントシステム(EMS)が要求され、ISO/TS16949、OHSMSと続く。取得できた所は益々先に進み、グローバルスタンダードは企業の停滞を許さずに、その格差を更に広げる。取得するのかしないのか、どちらも覚悟が必要だ。
欧木普都生:ISOの認証取得は、もはや当たり前のこととなってきました。かつて、導入初期には「取引の拡大」ということが目的の1つでしたが、海外取引先からの取得要求や、業界での初認証がニュースとなった初期段階の昔話です。ライバルや、周囲の企業が次々と認証取得している現在では、『取り引き機会を喪失しないための予防対策』でしかないでしょう。
A社は、かつてISOの取得を進めていましたが、仕事が繁忙期に入った時期に、中断してしまいました。ところが、半年後に大手の取引先が突然大規模なリストラを始めました。どの下請けも仕事が減り、半日操業や週休4日となりました。必死に営業に回る発注企業の取引調査書には【ISOの取得は?】の記入欄が必ず有りました。この企業の社長は、自ら犯したミスの大きさを悔やんでいます。
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