ISOコンサルティング
サイトマップ
  アークテックがISO取得を支援します
 
 
 
 
 
 
TOP当社実績雑誌・新聞掲載>プレス技術第14回
雑誌・新聞掲載
ISOセミナー
   
ISO9001コンサル実績
ISO9001:2000コンサル実績
ISO9002コンサル実績
ISO14001コンサル実績
AS9000コンサル実績
HACCPコンサル実績
ORGANICコンサル実績
セミナー情報
業界別取得状況
審査機関紹介
申込み&お問い合せ
ISOお問い合せ
プレス技術連載第14回
Q. ISO失敗の研究
当社では3年前にISO9001を取得し、その後14001も取得しました。しかし、社長ははじめから殆ど手を出さず、事務局だけで維持してきたような有様です。嫌気がさした管理責任者が、体調不良を言い訳に半年前退社してからは、殆ど機能していない状態です。業務の改善には程遠く、維持費用がかさむため経営陣は登録証の返上を検討しているようです。管理責任者を引き継いだ私としては、まだがんばって何とかしたいのですが、失敗の原因と対策を教えてください。

藍田良雄:
取得はしたが、機能していない。上手くいかない。手間ばかり増えて、取得しないほうがよかった――中小零細企業の取得が当たり前になって、このような話をよく聞くようになってきました。いくつかの事例を挙げてみましょう。
事例@ 「短期取得を目指して半年間で取るには取ったが、社内に浸透せず全く機能しない」
取得目的:9001を取得し、大手企業から取引を受注し、併せて企業体質の強化を図る。
推進体制:米国系の審査登録機関との連携を売りにするコンサル会社の指導で、6カ月の短期間でQMSを構築し、すんなり合格した。
維持状態:推進事務局のみで構築し、運用したため全社員のISOに対する理解不足。社内の雰囲気も盛り上がらず、ISOがお荷物になっている。
失敗の原因:出来るだけ簡単に、安く取得だけできれば良いというトップの認識と、絶対に合格させると言うコンサルと審査機関を信用し、社内にやる気が全くなかった。お仕着せで一方的なベルトコンベア方式のコンサルティング方法
対策:何のために導入するのか、経営者の意識を変え、全社員への共通認識に広げていく。また、コンサルティング部門と、審査機関が癒着している会社を避けて、まともな所を選択する。
事例A 現場部門が、取得の前後で非協力的な態度のために、浸透せず失敗、認証を返上した。
取得目的:ISO14001を取得し、顧客の信頼獲得と、併せて企業の体質強化を目指した。
推進体制:2カ月で環境マネジメントシステムを構築、運用開始後3ヶ月で認証取得した。通信教育のISOコンサルから指導を受け、管理責任者、事務局、製造を含む4部門の実行委員、内部監査チームを作り取り組んだ。
失敗の原因:システム構築は、事務局中心に進めたため、各現場部門が関わりを持てず、通信教育によるISO指導の限界の事例となっている。
対策:コストや簡単な取得を売りにする通信コンサルは、その中身を十分に検討し、トップの明確な意思の下で、全員が役割を持って取り組む仕組みを構築する。
事例B コンサルタントを依頼せず、自社取得で構築したが、冗長な文書と社内の身内なれ合いのため、ほとんど取得の効果がでてない。
取得目的:9001導入により、顧客への信頼度向上と不良の削減
推進体制:社長の指示で、社外コンサルタントは入れず、社内の専任者5名による推進体制(ISO推進室)を準備し、12ヶ月で認証取得
維持状態:取得後は、経費削減のため推進体制を1名にリストラし、外部教育も行っていない。
失敗の原因:社内だけでシステム構築できたことに満足し、継続的なシステム改善にならなかった。また、社長のコスト第一主義から、維持の教育もままならず、社内に改善体質が育たなかった。顧客クレームも減らず、逆に減益要因となっている。
対策:外部からのアドバイザー又はコンサルタントを導入し、システム構築の基本を固める。コストを削減することは重要だが、ISO導入による社内活動全体のコスト低減効果を狙うべきだ。
事例C 親会社からの指示と指導で取得したが、天下り幹部の暴走で失敗
取得目的:主要取引先からの要求で、早期に取得しなければならなかった。
推進体制:取引先の早期退職者の中からISO推進経験者として元品証部長が派遣されてきた。しかし、大手型のシステムを主張するため、社内の反発や社長が依頼したコンサルタントとしばしば衝突し、システム構築途中で退職してしまった。
維持状態:部長が退職した後、取引先との関係もギクシャクし、ISO取得で取引量拡大を狙った社長の思惑が外れてしまった。結局、システム構築は完成に至らず、途中でISOを放棄した。
失敗の原因:取得の目的が不明なまま、親会社の指示だけでISO導入を目指したことと、我儘な天下り部長に振回されて、経営幹部との対立や社内に嫌気がさしたことが最大の原因となった。
事例D 大手企業形のシステムが企業規模に合わず、分厚いマニュアルと膨大な記録に悪戦苦闘したが、定着できずに維持を断念。
ISO取得目的:品質マネジメンとシステムを導入し、業務の改革と顧客の信頼性確保を図る。
推進体制:大手企業を退職後、ISOコンサルタントとして独立した、社長の友人が指導した。この企業が初めての指導先であり、迷った挙句に元の職場のシステムをそのまま持ちこんだ。
維持状態:大手企業マニュアルのコピーなのでシステムが重く、事務局は現場の不満をなだめるのに奔走させられた。
失敗の原因:コンサルタントの経験・勉強不足と企業のレベルと実態を無視し、大手企業のマニュアルのコピーをそのまま使用した。
対策:個人コンサルタントの実力を評価することは難しいが、指導実績と人物的に信頼できる指導者を選択することが重要である。

柄守川我留男: プレス・板金業界のISO取得が増えるにつれ、好くない評判が増えている。この傾向は、受審企業に中小零細企業が多く含まれて来た時期と一致している。小さな会社が無理をしてISOを取り、メリットを出せず、経営を圧迫しているのは何故なのか?
《失敗の最大の原因は人材問題だ!》
【経営者の問題】
 経営者の問題で、つまずく企業は結構多い。社長が新しい物に積極的だが、方向を間違っても誰も止められない又は止めようとしない企業では、しばしば問題が発生する。過去の成功方程式をガンコに曲げようとせず、外部からの意見を聞こうとしない経営者では、情報化とグローバル化が求める経営の迅速さ,絶えず生ずる異質統合を実現できない。激しい環境の変化は突発的である。過去のやり方が明日の成功に結びつくとは言えず,過去を見直し成功体験から脱却する「経営の改革」が必要になる.
 また、創業者社長とサラリーマン社長の違いが結果に現れることがある。仕事に対する執念の差であろうが、サラリーマン社長には無い、創業者としての自分が創業した仕事へのこだわりは、並みのものではないのは当然だ。
 成功の条件として,経営者トップの「ビジョン」を掲げなければならないのは必然だが,業務改革そのものを成し遂げる「変革力」をトップが持たなければならないのは言うまでもない。
 経営トップが関与しないISOは最悪である。
【管理責任者の問題】
 経営者だけでなく,組織の中でシステム構築を担う者の人選も重要だ。次のような人選を行った場合の結果は悲惨である。
・現場が解らず、現場に指示が出来ない
・逆に現場事しか知らずに、管理能力が無い
・経営者をはじめ社内の取り纏めが出来ない
・新人や、外部からの助っ人の人材補充
・余裕部門のヒマな人(庶務・総務部長など)

要は業務内容全般を理解している人、デキル推進者を選ぶ事が大切だ。全くの新人や、会社の勤務経験が浅い人を担当者に据えるのは避けなければならない。特に金融系や取引先からの天下り人材を、ISO担当者に据える例が時々見受けられるが、事務局として効率が悪く、システム構築が失敗する自殺行為につながりやすい。
「窓際で 今は昔の 手柄かな」
窓際族の昔の手柄話は、受入企業の誰からも相手にされないが、こういう人材にトップからお声が掛かれば、"欣喜雀躍"として発奮する。
「私は以前OO通信でISOを経験しましたからねえ…」日本の超一流企業の経験でも、そのまま今の会社に通用する訳ではない。大抵は昔の経歴や知識が役に立つよりも、本人が心の支えにしている見栄やプライドが邪魔をする。所詮は社長が担当者の人選をした時点で、業務改革など本当にできないことが社員にばれているし、社内の誰もが本気で協力しないから、惨めな結末となる。 
【幹部の問題】
 指示待ち族という言葉がある。いつも上司の指示を待っている部下のことを言う。しかし、自分が課長・部長となっても上司としての管理能力を発揮できない人種がいる。「部下の指導・育成ができない、部下に仕事を任せられない、上層部に根回しが出来ない、批判はするが行動しない、困難な場面に直面した時逃げる、失敗の責任を転嫁する」残念ながら、こういう幹部社員は間違いなく社内に生息している。この手の幹部がISO導入の天敵として暗躍するのである。
【老害の問題】
 業務上問題が発生すると、トップは顧問、相談役など長老のところへ相談に行く。この人達の存在意義は、いざという時に役立つことが前提である。ISOのような欧米的(狩猟民族)発想に対する対応には不安が残る。何故なら過去に例のない大変化の中では、変化への対応力、知恵、創造力が問われるが、農耕社会だった日本では大体が過去の経験が役に立つ程度の変化であって、それ程大きな環境変化はない。だから経験豊富な長老の知識が尊重されたのだ。企業環境も同様に横並び、前例主義を抜け出ていない。「隣がISOを取ったから、ライバルはどうした?」でほとんどのことが解決できた。現実には豊富な経験の上に立ち、時代を先読みする変化対応力を兼ね備えた有能な顧問、相談役などは、ほとんどいないのが実態だ。
 経験者の知恵を利用することは大切だが、行動よりも知識を大切にし過ぎる事は失敗につながる。
【失敗に学ばない問題】
 近頃の日本は、失敗に学ぶ理性が無くなったのか?「この国の失敗の本質」(柳田邦男著)を読むと、日本の事故調査の現実を、わが国の失敗の本質だ」と指摘している。
 かつて日本は、欧米の成功事例のみを教訓とし、それをより効率的に行うことで発展してきた。日本の失敗、事故や災害を見ると「責任追及」から脱却できずに「なぜ事故が起きたのか、なぜ被害が拡大したのか」に至らないと論じている。
 失敗を恥として隠す、失敗から逃げる、失敗を他人に着せる、水に流して精算する、失敗を隠すのは日本人の特性であろうか。これらが「失敗を繰り返す日本の本質」ではないだろうか。
 「もっとしっかり注意しろ!」だけでは失敗(不良)の再発は防げないのである。

欧木普都生: プレス・板金会社のQMS取得事業所は800件、EMSも300件を越え、認証取得自体は特別なものではなくなりました。問題はISOというツールをいかに運用し、企業の経営システムとして機能させていくかでありましょう。
【文化の違いの問題】
 欧米で作られた「グローバルスタンダード」を拒否する人達がいます。何故自分たちのやり方を変えて、アングロサクソンが考え出したものに合わせなければならないのか?世界標準に合わせることが「進んでいる」のか?「俺は日本で仕事をしている」と言うのです。彼らの言うように"文化や考え方の違い"は尊重しなければなりません。しかしその裏腹で、儲けるためにISOに取り組んでいる経営者は多いのです。千年以上受け継がれてきた日本文化を捨てるのではなく、欧米契約社会の厳しさと、そのシステムを取り入れて上手く利用するのが賢明です。
【製品の質が向上しない問題】
 ISOを導入したからといって、それだけで製品の品質が向上することは有り得ません。QMとQCを共に活用してこそ成果が上がるのです。しかし、今の技術担当は機械やモノに触れなくなり、ITやパソコンで何でもできると勘違いしています。
技術の進歩はヒトの持つ技能を、文字化・数値化して、いかに機械に置き換えるかという歴史でした。長期的な視点にたち、技能の育成に努めることが、モノづくり日本の最大の課題でしょう。優れたモノづくりの技術の伝承には、ISOの文書化、個人の力量評価、計画的教育が最適です。
【モノまね文書の問題】
 "ISOは文書作りではない"失敗企業は、この事に気が付いていないことが多いのです。コンサルタントに管理マニュアルを作ってもらう会社を非難する人たちがいます。確かに安易なコンサルティングの結果から作られた、その多くはマニュアルと実態が遊離し、雛形マニュアルのコピーの弊害が現れています。だからといって、企業が自ら汗を流して作った文書からすばらしいシステムになる保証もないのです。肝心なことは、借り物のモノマネのシステムではなく、時間がかかっても自社の実態に合ったマニュアルでシステムを構築するのが大切です。
【教育の問題】
 ISOの導入目的は、顧客満足を達成し、永続的に企業発展させることです。そのために経営改革のシステムを作り上げるのですが、人材が最重要ファクターであることは明白です。
 倒産や企業衰退など、企業経営の失敗原因の第1位は、人材不足だという調査結果が出ています。同じくISO導入の失敗原因の第1位も人材育成の失敗です。システムという形の構築は容易いが、目に見えない人材の育成は大変難しいのです。
 ISOシステムは経営のツールです。道具の価値は使い手で決まり、良い道具を一流の職人が使うのと、一流の道具で初心者が行う仕事の差は歴然としています。一流の職人になるには訓練が必要です。人材こそが、組織運営上のキーワードであり、人材育成が総ての基本だといえます。維持費用をケチる余り、内部監査員の教育を見送ったり社内教育を実施しないことは、後日大きなツケとして返ってきます。
ISO川柳
取得(と)ってみりゃ こんな物かと 甘い夢
(ゆめ見草)
地球より ウチの家計の 温暖化
(環境管理責任者の妻)
チョット待て ISOは急に 馴染まない
(日本の常識)

会社概要     採用情報     リンク    お問い合わせ
Copyright 1998- Arktech Co.,Ltd All Rights Reserved.